◆社長室にて


・登場人物 城之内克也 海馬瀬人 海馬モクバ


「オレなんでこんなに海馬のこと好きなのかな」
「オレに訊いているのか」
「ふえっ、声に出てた?!」
「さっきからずっとな」
「じゃああの」
「ムカツク、も聞いていた。ひとつあげるたびに最後に付けていたが、貴様は女子高生のようだな」
「オレもおまえも男子高校生だろっ。普段から老けてんだから、オヤジ臭いこと言うなよ」
「………」
「あー、あー、訂正します。落ち着いて見える」
「ほう」

「なんで素で女王様みたいなんだろうな」
「…王ではないのか」
「海馬には、ひれ伏すじゃなくて、かしずけ、ひざまずけって感じがするんだ。
王様はやっぱりアテムだろ。あの威圧感」
「国語は点が取れると言っていたのは勘だけか。
 では遊戯のところに行くか。オレもデュエルがしたいしな」
「もう今の遊戯は遊戯だろ。オレとデュエルしよう!」
「ふぅん。勝てる見込みもないはずだが、凡骨の意地を見せる気か」

「うん。なんで女王様かわかった。目付きがやらしいからだ。おまえ人の反応見て楽しむところあるよな。
もっと泣きわめけー、死んでしまえっ、みたいな表情してるとき、あれがいやらしい」
「デュエルの話をする気はないのだな」
「デュエルしてるときのおまえの話だけど?」
「何だと」
「そうそう、オレはあれにやられたんだ」
「………」
「昔は勝負しろって言っても全然相手にしてくんなかったのに。
急に付き合ってくれるようになったな、そういえば」
「気分が変わることもある」
「デュエルするたんびに、ラブレター貰ってただろ。
TVで放映したりするとさ。
英語わかんなくても、あれだけ好きですって書いてあったらわかるよ。ゴミ箱の読んじゃった。
I love you.I want you.かぁ。ストレートだな、向こうの人は。
きれいな文字だったな」

「この前部屋に捨てておいた物か?あれは全部ペガサスからだ」
「!!」(声にならない)
「シュレッダーにかけるのも煩わしくてな。机の脇の物は焼却処分だ。
ああ、よければこれを持っていけ」
「これ、まさか」
「今月分だ。英語の綴りの練習にすればいい」
「開封はしてるんだ…1ヵ月に2通ぐらいくんの?」
(ちょっと偏執的じゃないか)
「仕事の話があるとまずいからな。…どうした城之内」
「海馬、大好きだから!!オレがいるから!!」
「邪魔だ!どけ」
「瀬人はオレが守るから」(泣く)
(城之内、椅子に座る海馬の膝に前から乗りあげ、首にしがみつき離れない)


「兄サマ、この書類……」
「モクバ」
「城之内…寝てるの?この顔、泣いてたの?」
「いい加減重くなってきたところだ。起きろ、城之内」
「…うん。大丈夫だから…瀬人」
「だめじゃない?」
(モクバ、顔をバチンと強めに叩く)
「いてっ。海馬…モクバ?!」
「もう。何してんの城之内。オレだって抱っこなんてされないぜ」
「して欲しいのか、モクバ」
「え?もう大きいからそんな気はないよっ」

(海馬、城之内をほおり投げ、モクバを膝に乗せる)
「たまにはして欲しいことを言え。城之内のプライドのなさを見ろ」
「ちょっ。オレはおまえが心配だったんだ!」
「心配?兄サマ何かあったの」
「オレとモクバには関係のないことだ。城之内が不安になっただけだろう」
「ふーん。それならいいや」
(モクバには笑顔を、城之内には冷笑を浮かべる)
「やっぱり、女王様だ…」
「変なこと言うなよ城之内!」
(瀬人の膝の上が熱いので、なんだか焼きもちめいた気分になるモクバ)



20131030/1219
前半は『深夜』の後ろに書いてあった台詞だけの文章でした。
ピロートークでしたが、場所を社長室に変えてみたらこうなりました。