◆甘く見ていた


2月14日金曜日  2:00
 窓の外が気になり、目を凝らしたら白い物が見えた。
 雪が降りだしていた。
土曜日に大雪注意だと言っていたはずだが、1日ずれている。
最近はこんなことばかりで、天気予報はあてにならない。
夕方にはもっと積もるのだろうか。
 ……こんな物を渡しても嫌がらないだろうか。
 青眼白龍と真紅眼の黒竜をイメージしたデザイン。企画したのはオレではない。子供向けがヒットしたら、大人も欲しがったから作られた。
そんなことを考えながら明りを消した。

2月14日金曜日  3:00
「降ってきた」
「今は大丈夫だろ。帰ってきたら温かいもん用意しとくから、がんばっとくれ」
 おばちゃんの励ます声に見送られながら、皆一斉に自転車を漕ぎ出した。
手袋と帽子のおかげで寒くはないが、むき出しの顔にあたる雪が痛い。
「ホントに怖いのは明日の朝だよな」
積もりませんように、と願いながらポストに新聞を入れていった。
今の担当地域は住宅街。車通りが少ないために除雪される可能性が低く、凍った路面がおそろしい。金属がむき出しの部分が特に危険だ。側溝やマンホールの蓋の場所を確かめながら走った。
「明日が土曜の朝なのがまだましかぁ」
そうつぶやきながら、配達を再開すべくペダルに力を込めた。

2月14日金曜日  20:00
 雪はずっと降り続いていた。
都心の交通網は雪に慣れていないために、すぐにストップしてしまう。
 社員には、申請すれば帰宅許可を出す旨を朝に通達した。
また残りたい場合も申請するようにと添えておいた。
モクバには、兄サマの直轄だから……と言われている研究員たちは、社に残って仕事を続けているほうが楽しいという者が少なくない。楽しいというより時間を忘れてしまうのだろうとわかっているので、彼らのことは秘書に確認に行かせた。
 開発以外でも、残る社員の申請が多いことにはつい笑みが漏れた。食堂の冷凍食品と仮眠室、シャワーの設備もある。自家発電の準備もあるため、凍えることはない。
書類に判をついて、帰宅を秘書に告げた。
 いつもなら地下駐車場へ向かうが、ふと気になってエントランスから外へ出た。
車が通る場所以外の積雪が20cmはありそうだった。
 都心では見られないダイヤモンドダストがビル風に煽られ、ブルーアイズを取り巻いていく。
街灯に雪がキラキラと光る。粒が大きくて、当たると痛みを感じる。
 瀬人様、と遠慮がちにかけられた声に振り返り、開けられた後部座席へと腰を下ろした。
 手渡されたタオルで顔を押さえて、火照っているのを隠したかった。
大切なブルーアイズを置いて、帰宅する。黄色い頭の犬と約束をしたからだ。
 どこかで、モクバの声がする。
『恥ずかしいっていうのも、大事な感情だと思うんだよ。恥ずかしいと思うのって、今の失敗は見せたくなかったとか、相手の人に良く思ってもらいたいときが多いかなって思うんだ。オレは兄サマにいつもそう思ってる。そんなこと言って、いっぱい、失敗してるけどさ。兄サマ、聞こえてる?』
 年末のパーティーで、強い香水の女に群がられ、レストルームで吐いたオレを慰めてくれたときか。感情面においてモクバの洞察力には諸手をあげて降参だ。弟の言葉がなければ、会場に戻ることはできなかっただろう。
色香に負けた訳ではない。毒には毒で返してやろう。オレは、娘たちと付き合う気はないことをはっきりと伝えながら、その親どもと商談をまとめてやった。

2月14日金曜日  21:00
「お帰りなさい、兄サマ」
 ひゅっと何かが飛んでくる音がしたので、モクバを抱えて跳び避けた。
「おっかえりー。さすが反射神経はいいな」
 見れば2人とも雪まみれだった。車寄せ近くは明るいため、雪で遊んでいたらしい。雪だるまや、よくわからない像が数頭出来上がっていた。
 オレはモクバを降ろすと手近な雪をまとめ、城之内に向かって2、3個投げた。
何がとは説明できないのだが、何かがオレを怒らせたのだ。
城之内はそれを片手で避けると、新たな雪玉で応戦してきた。
「もうっ、やめようよ!」
 モクバの声にはっとして、手を止めた。雪は静かに降り続いていた。外にいるだけで、帽子も被っていないオレの頭は真っ白になっていた。情けない顔をした城之内が、モクバにごめんと謝っている。
オレはそんな風に素直に謝ることができない。雪を払いながら佇んでいると、モクバが赤くなってしまった手をぎゅっと握ってくれた。
「風呂に入るか、モクバ」
うん、と大きな目がうれしそうに閉じられるのを見て、肩の力が抜けていくのがわかった。
そこへ背中にどさりと重たい物が乗ってきた。モクバに視線を合わせていたせいで、いつもより低くなっていた背に纏わりつかれてしまった。
「オレは?」
「この犬も一緒でいいか?」
背中でぎゃんぎゃんと吠えていたが、無視してモクバの目を覗き込む。
「いいよ。もちろん」
 モクバには見えていただろう、オレの赤い顔。まだ城之内と一緒にいるところをモクバに見せるのに、慣れていないのはオレのほうだから。それを大きな目に映しこんで、微笑んでくれた。
「それじゃ、行こう」
 モクバは空いている手で城之内の手を取ると、手袋を取って、オレの手を握らせた。
逆手になりながらも、城之内は力を込めて握り返してきた。
右手と左手から感じる体温が同じなのがおかしくて声を出して笑うオレを、不思議そうに2人が見ていた。

2月14日金曜日  23:00
 今日はバレンタインの夜なわけで。
 海馬にはチョコレートブラウニーを、オレはお高いゴディバを頂きました。
それを静香と一緒に作ったといったら、最初は目を丸くしていたけど、どこからかウイスキーを出してきて、おいしそうに食べてくれた。ナッツ類が好きなのは知っていたから、混ぜておいたのも良かったみたいで、また作ってくれと言われた。
 バレンタインだからといって、約束をしたのはオレだけで、海馬から何か貰えるとは思っていなかった。更にリクエストまで!
これで有頂天にならないほうがどうかしてるってもんだ。
お互いいつもより甘いはずなのにキスをしてもあまりのってきてくれない。眠いのかなと思ったけど、そうでもないみたいだ。
腕の中の海馬は、あ、じっと見られてた!!
「くるくると表情が変わるな」
笑いながら、立ち上がるよう促される。
「どうした。寝ないのか」
まだソファーの上だった。だから、かな?と思っていたら、ベッド脇で不思議なことを訊かれた。
「城之内にあげたいものがあるが…それをやったらオレは、今晩はできないと思う」
「あげたらできない?なぞなぞ?」
「違う」
言いながら肩が震えてるんだけど。そういえば帰ってきたときは怒っていたみたいなのに、海馬今は良く笑うな。
「どうする」
クローゼットを背に、気だるげに見つめてくる。
 ムダにフェロモン振りまくのをやめて欲しい!!あ、でもクローゼットにあるものってことは、服か?
今晩がだめなのと、海馬が何か用意してくれたもの。天秤にかける意味はわからないけど、ここで断ったら、なぜか2度とお目にかかれないような気がする。ここは野生のカンを信じて!
「いただきます」
オレはバイト先でありがとうございましたをいうときみたいに、お辞儀をした。
「わかった」
 海馬は横に長い紙袋を取り出すと、ちょっと待っていろと言いながら風呂場へ消えていった。
海馬が着てくる……ものがあげたいものなのか?
それだと自分をプレゼントとかですかい?オレ、そんなベタなこと喜ぶタイプに思われてんのか?!
あらぬ妄想で混乱している間に、下は先程と同じパジャマのままバスローブを羽織った海馬が現れた。
前髪がちょこっと乱れてるってことは、何か着替えはしたのか。
「お前の分は中にある」
待っていると笑顔を向けられて、尋ねることができないまま、とりあえず中に入った。
 広い洗面台の上に置かれたものは、スエット地にカラフルな印刷がされたもの。
大理石の台の上で、最初は柄を確かめ表と裏とをひっくり返した。一通り見終ってからやっと着替え始めた。
 海馬はベッドに腰掛けてぼんやりと外を見ていた。
「着てきた…似合う?」
フードまで被って(それが正しい着方だと思うので)出てきたオレを見て、海馬はぷっと吹き出した。
「似合っているぞ。オレは残念ながら下は丈が足りないので、上だけだが」
話しながらバスローブを脱いで、フードを立てた。
その姿にオレもやっぱり笑ってしまった。
 これは戦隊ヒーローなりきりパジャマの大人版みたいなやつで、ブルーアイズを海馬が、レッドアイズをオレが着ている。
「言っておくが、オレが企画した訳ではないからな」
子供向け商品だが、大人版も欲しいと言う声があったため、投票で一部のモンスターだけ作られたという。
「いつだかペアルックを着てみたいなどと言っていたことがあっただろ。ペアという訳でもないし、これなら室内着だからな」
 付き合い始めの頃に話した恥ずかしいセリフを……なんで今赤い顔してしゃべるんだよ。
むちゃむちゃキスしたい。そう思って顔を近付けていくと、海馬が笑い始めた。
フードを被るとドラゴンの顔が正面からも拝めるから、はぁまったく良くできている。
海馬が笑ってくれるのはうれしいから、こんなバレンタインもありかな?

2月14日金曜日  23:30
 2人で鏡の前に立っていた。
 トレーナより裾の長いデザインで、くるっと回ってみると背中にはうまく尻尾まで入れてある。
「こうして並ぶと、海馬顔ちっちぇ。オレも小さいほうなのに」
城之内はフードから黄色い前髪が飛び出ているので、動く度にレッドアイズの口が動くようでおかしかった。
「また笑ってるし」
ぶすっとした顔がおかしい。
「さて、歯を磨くか」
 そのためにバスルームの洗面台の前にきた。さすがに邪魔なのでフードは下した。
 虫歯は唾液でうつる。城之内にはきちんと歯を磨けと言ってある。
 電動歯ブラシなので終了時刻は同じ。……はずなのだが、なぜもう、うがいをしているのか。
口元を拭うと先程の紙袋を覗き込んで、何かを持ってきた。
「海馬ちょっと足あげて」
 その言葉を無視していると、腰を抱え宙に浮かされパジャマを下ろされた。
「このままでもいいんだけど、せっかくだからお揃いにしよう」
人の足をするする撫でたかと思うと、今度はジャージを履かされた。
やめろ。履かなかったのはなぜか理由を言っただろう!!
「確かに短い」
歯磨き途中を狙うのは卑怯だ。腕から逃れて、うがいをする。
「でもかわいいじゃん」
 何だと?こいつは何を言っている?
「この服横から見ても柄が繋がってるから、ブルーアイズの足が動くようになった」
 ニヤニヤと笑いながら、剥きだしのふくらはぎや、くるぶしを撫でてくる。
「海馬の足も白いから、おかしくないけどなぁ」
上着のように裾が切りっぱなしのデザインなら良かったのだが、なぜか足元だけゴムで縮めてあるために、オレが履くとふくらはぎの途中という状態になる。
 ぬるっとしたものが触れていった。ぞくぞくするのは気持ちがいいからではない。
「城之内、いいかげんにしろ」
「そんな顔を赤くして言われても。けっこう、ここ弱いくせに」
 そんなことはオレにはよくわからん!顔が赤いとしたら、うがいをするまで息を止めていたせいだ。頭に来たので、顔を踏みつけてやった。
 凶暴だな〜なんて声が聞こえたが、無視してベッドに入った。
 城之内が潜りこんで……なんだ、なぜ腹を触る!
「何をしている」
「や、触りたいから」
「馬鹿者。ブルーアイズとレッドアイズに見られるだろう」
 そう、この2つの龍に見られながらする気はない。ん?城之内の手が止まったな。わかったようだ。
「か、海馬、それ本気」
「そうだ」
 諦めたのか、城之内が隣に横になった。
理解したなら頭でも撫でてやろうと手を伸ばしたら、黄色い頭が熱い。顔ももちろん赤い。冷えのぼせか?
「海馬はさ『YES・NO枕』とか知ってる?」
「なんだそれは」
「うんそれならそれでいいんだ。海馬はこの服を着ているときはしないんだな?」
「そうだと言っている」
「わかった。寝る!」
 話は終わったらしい。城之内もバイトまで少しは寝たほうが良いだろうと思うので、オレは静かに従った。

2月14日金曜日  23:50
 早い。いつも思うけど、海馬は寝つきがいい。
 オレはドキドキして眠れません。
 海馬くんは時々ひどく、ずれていて、かわいくてたまらないです。
 このパジャマは、いつも風呂場に常備してもらおう。
 疲れててできないぞって合図に使えるというのは、何と説明してあげたほうがいいんだろう?
ああそうか、これだと『NO』のほうしかないのか。
……いっそほおっておいてみようかな!オレだけが着てても『レッドアイズに見られる』ってできないんだろうし。
それ、楽しいかも!海馬くんがやる気満々のときに着て、試してみたい。
サイテーな下種野郎かなぁ、オレ。
 でも海馬って口には出さないけど、目では誘ってきたりするから。
いつもオレだけがやりたいばっかりみたいで、ズルいと思っていたところもあるんだよな。
 意地悪だからわざとかと思ってたけど、口下手なのかな?そういう部分だけ、もしかしたら……。
 隣から聞えてくる安定した呼吸音に誘われて、いつの間にか意識を手放した。

+  +  +  +  +

2月15日土曜日  1:30
 サイドテーブルに置いたスマートフォンの振動で、目を覚ました。
 城之内を起こさないようにそっとベッドから下りて、窓の外を覗いた。
今はちらちらと降っているだけだが、雪の勢いは減らなかったらしく、庭の木々が真っ白に埋もれている。
 かなりの降雪量となった景色に、オレはやっと帰宅したときのイラつき感がなんだったのか理解した。
 城之内とモクバのスノーウエアは、出張先でオレが買ってきたものだった。
雪の中でトレーニングできるスポーツ用品。滑らずグリップがきいた軽い靴。スノーカバー。発熱素材のインナー。汗は逃して、水は通さないアウター。
 もちろんモクバには先に渡していた。オレと城之内の分があることも知っていたから、部屋から持ちだして雪遊びに使っていたのだろう。
 黄色い頭の犬が、それをさも当然のように着こなしていたから腹がたったのだ。
……小さい。オレは城之内と付き合うようになってから、心が狭くなった気がしてならない。
手ずから渡せなかったことに対して怒っていたとは、口が裂けても言いたくない。
 モクバが心底楽しそうに雪遊びをしていた。それに礼を言いたい気持ちもあるというのに。
 そっと隣の部屋に向かい、用意しておいた自分の物に着替えた。

2月15日土曜日  1:40
 そろそろ起きないと、と思い海馬を起こさないように抜け出ようとしたら、隣は空だった。
いた形跡はあるなと思っていたら、部屋のドアが開いて、コーヒーのいい香りがしてきた。
途端にぐうっと鳴った腹の音に海馬が笑っている。
恥ずかしいけど、いい笑顔だな。それが拝めるならいいやって思った。
トレーの上には軽くつまめるサンドウイッチものっている。温かいスープも。
 サイドテーブルに置きながら、そろそろ時間だろうと言ってベッドに腰掛けた。
 ありがたくぱくつきながら、海馬の服の違和感に気付いた。
 スポーツウエアだよな。昨日オレが雪の中で着ていた服に似ている。上着を着てないからはっきりしないけど、色が違うような気がする。海馬のを貸してくれてたんだと思ってたんだけど、違ったのかな?
 オレがじっと見ているのに気が付いたのか、海馬から説明があった。
「昨日の服はお前にやろうと思っていたものだ。雪の中でも動きやすかっただろう?」
 はい、とても動きやすかったです。海馬くんのは、青っぽい白にブルーがメインでアクセントに黒のデザインで……。
オレが着ていたのは、白に赤と黒だったかもしれない。
「何をほおけている。隣に乾かしてあるから、さっさと着替えてでかけるぞ」
 歯磨きは免除してやると言って、コーヒーを飲み終えたオレは隣の部屋に連れて行かれた。
 手渡されるままに着替えていったけど、海馬はなんで同じ格好をしているんだろう。
 同じブランド、色違いだと思う。色違いはペアの範疇外でOKなのかな?スポーツウエアはそんなこと関係ないか?
もういいや!海馬スタイルいいし、かっこいいよ!
オレの中でペア発言は黒歴史なので、早く忘れてもらいたい。いつか言う!!
「海馬はどこに行くの」
 本当にわからなくて訊いてみる。配達所まで送ってくれるのはあってるような気がするけど。
「決まっているだろう。配達所だ」
ああ、やっぱり。でも車に乗せて送ってくれるだけにしちゃ重装備だよな。
 手袋をして靴を履き、車寄せの所で初めて、雪の量に驚いた。腰近くまである?!
 海馬にヘッドセットとヘルメットを渡された。
「後ろに乗れ。一緒に配ってやる」
 バイクのようなものに海馬はもう跨っていた。
『ダイハード2』でしか見たことがないけど、これはスノーモビル?!
 豪快なエンジン音とともに、高らかなワハハハハハという声を、背中にがっちりつかまりながら聞いていた。

2月15日土曜日  2:00
「あら!城之内くん」
 多分城之内がおばちゃんと呼んでいる配達所の女性が、現れた奴を見て驚いている。
 オレは少し離れたところに停めていた。
この雪では新聞配達が行われるのか、という疑問もあったためだ。
配達所の中に人が少ないように思えるが、自転車とスクーターにチェーンを巻いているところを見ると、出発するようだ。
先程まで降っていたために、アイスバーンにこそなっていないが、膝まである雪の中を自転車で進めるものなのだろうか。
そんなことを考えているうちに、城之内が近くに来ていた。
「海馬、今日仕事は何時から?」
「社に出なくても平気なようにしてきてある」
 城之内は上を向いて話していた口を一瞬ぽかんとあけて、眩しそうに笑った後に、頼んでいいかと訊いてきた。
「やっぱり人数足りてないみたいで、そこもカバーしてあげたいんだ。オレが昔配ってた地域だから、一緒に回ってくれる?」
うなずくと、地図を確認して欲しいと明りの元に連れて行かれた。
住宅街が多いので、この時間なら新雪のままだろうと思われた。この車体にはうってつけだろう。
 ヘルメットを外して地図を見ていたが、フェイスガードを取らなかったので誰かは気付かれなかった。もちろん、それどころではない状態だったが。
一方通行等のルートを把握している間に、城之内は名簿を見直し濡らさぬようにしまっていた。
新聞の電子化も進み、そちらの読者へと変わった者が多いかと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
城之内はいつもの3倍だという新聞を詰め込んで背中に捕まった。

2月15日土曜日  2:30
 雪はやんだとはいえ、風の冷たさが半端じゃなかった。
 前にいる海馬はもっと大変だと思う。でも、海馬、頼むから言うとおりに走ってくれ。
少し口論した後、海馬が車体を停めた。
「自転車の道では、道交法無視で走れない。番地で言ってくれれば、それでわかる」
「普段は日本の免許ないのに、車乗ってんじゃんか」
はやる気持ちが抑えられず、つい言ってしまった。
 海馬は怒りもせずじっと目を合わせてから口を開いた。
「車も少ないだろうしな。事故には合わないだろう。載せているのが商品でなければ、多少の無茶は構わないが。それをオレにしろと言うのか」
 海馬の言うことはもっともだった。慣れない雪道に、いつもより多くの朝刊。
「この天気だ。多少遅くとも怒る者は少ないだろうが、届かないと困る者はいるだろう。効率ではなく、確実に回るほうが大切ではないのか。
頭を切り替えろ。城之内」
 不覚にも、ぐっときて泣きそうになった。社会人……物を作っている会社の社長なんだと、差を感じる。
落ち込むより、今は海馬の言葉を実行するべきだと思った。
「わかった。細かい番地はわからないけど、信号機とかでも行ける?」
「建物や道路名でも構わん。近付いたら指示してくれ」
 最初に行きたい場所を伝えると、海馬はスノーモビルを発進させた。
暴走族の改造バイク並みの爆音を轟かせながら、配達を再開した。

2月15日土曜日  5:00
 城之内の昔の受け持ち地区は、建売住宅が多く、細い道に行き止まりがいくつも伸びているような場所だった。
 しかたなく太い道で待機していることになった。
いっそスキーのほうが良かったのだろうかと考えたが、話題にしたことがなかったと思い出す。
 先程は正論ぶって話してしまったが、スノーモビルには、自動車の免許が必要だ。
これは剛三郎がいた頃に発売されたものだったから、まだ公道を走れるタイプでナンバープレートもあるため、余計なことを訊いてくる者はいないだろう。
モクバが乗りたがっていたから廃棄しなかった。メンテナンスが行き届いていてよかったと思う。
 戻って来た城之内の手に何かが握られている。
「久しぶり、ありがとうって、干し柿とか大根とか色々貰った」
 城之内の顔に笑顔が戻っていた。
 全て配り終えると配達所近くで降ろし、オレはそのまま屋敷に進路を取った。
道路に車が多くなり、雪が荒らされると走れなくなる。悪いが、屋敷までは徒歩で帰ってきてもらおう。
 1人になり、新雪の上を走るのは爽快だった。カーブを攻めるのが楽しい。人を引いてしまう訳にはいかないので、信号を待つのが残念だった。まだ滑れる時期だ。どこか雪山にでも行ってみるかという気分になる。
 信号で止まる度に香る、複雑な物たちの正体が気になった。城之内が各所で受け取った土産の半分を背中に背負っている。帰ってきた城之内にならわかるのだろうと、考えないことにした。
「お帰り、兄サマ」
 戻るとモクバが玄関で迎えてくれた。この爆音に気付いたのかもしれない。
「起こしてしまったか」
「違うよ。あんまり静かで、外を見たら雪が凄かったからさ。誰も歩いていないところを歩こうかなと思ってたんだ」
見れば夕べと同じく、雪対策をしている。
「兄サマさっきのって、スノーモビル?」
「ああ。乗ってみるか。まだ外にあるはずだ」
モクバがにこりと微笑んだ。子供用のヘルメットの用意と、しばらく外に出る者がいないように指示を出しながら、車止めまで戻った。
 先にモクバを乗せて、体重をオレと同じ方向に倒すように教えた。
エンジンを掛け、しっかりと腕を回させた。屋敷の中の障害物は覚えているし、飛び出しを気にすることもないので、加速をつけて走ることができる。
一周して戻ってくると、モクバは顔を赤くしていた。
スピードを出し過ぎたかと尋ねると、それは平気だったと言う。
「兄サマの背中、お酒みたいな香りがしてて、ちょっと酔っちゃったかも。あれ、そういえば城之内は?」
「そのうち、帰ってくるだろう」
酒臭いとは?何を持たせた、城之内。
自分では慣れてしまって匂いがわからない。
モクバはもう少し探索するというので、警護を呼び後を任せた。

2月15日土曜日  7:00
 戻って来た皆と鍋をつついて、雪道を登って歩いて50分強。やっと戻ってこれた。
無事配達できたのも、海馬のおかげだ。早く礼を言いたかった。
 ただ今戻りましたと、守衛さんに門を開けてもらった。門の周囲はもう除雪されている。
ここからもかなり距離があるんだよなぁと思っていたら、なぜか見慣れた自転車が用意されていた。
雪まみれで車に乗るはずがないってわかってて、手配してくれたのかな、とつい顔がほころんだ。
門から建物までの道も除雪されていて、さすがといった感じだった。
 居間、食堂と覗いたら、朝食を食べているモクバがいた。
海馬がいないなら部屋だろうと思い、挨拶だけで2階へ行こうとした。
「城之内」
ひっかかる言い方だ。振り返ってモクバを見た。
「多分兄サマ機嫌悪いと思うぜぃ」
「オレなんかしたかな?」
「匂い。城之内からもちょっとしてる。袋を預かった厨房も嫌そうにしてた。確かめてからのほうがいいんじゃない?」
一向に思いつかないけど、貰った土産に何か入ってたのかな。配達所ではおかしなものは、なかったように思うけど。
「海馬は飯、食べたのかな」
「多分…」
そう言って首を横に振った。
確かに機嫌が悪そうだ。厨房も気になるけど、この格好では入れない。
「モクバ、風呂貸して」
一瞬考えた風だったけど、納得してくれたみたいで、食事を終えて側に来てくれた。
「あんまりうまく言えないけど、酒と魚の混じったみたいな」
何ですと!そんなヤバイ香りを海馬に付けたっていうのか。
「服はテキトーでいい?」
「モクバ、ありがとう」
頭を撫でてやりたいけど、触れないから、せめて笑顔で返した。

2月15日土曜日  7:30
「海馬?!」
「大きな声を出すな。オレがどこにいようと自由だろう」
 厨房のドアがノックされたのでドアを開けたら、頭にタオルを巻いてシェフの格好をした城之内が立っていて、こちらが驚かされた。
 行動はすべてわかっていた。城之内はヘッドセットをウエアの胸ポケットに入れたままだったからだ。
モクバが言っていた魚というのも気になって、先にシェフと中身を空けていた。
干した大根(沢庵だそうだ)、干し柿、金柑、銀杏、瓶詰のジャムとキムチ。
そして密閉パックに入っていた、干した魚と黄色の液体。この密閉部分のしまりが甘かったらしい。他の物にも少量液体がかかっていた。
「焼いた干物と、黄色い…酒かな。これが匂うの?」
馬鹿め。酒はたんなる老酒だ。
2重に手袋をはめたシェフが魚を取り出し、皿に載せ城之内に手渡した。
顔を近付けると、ううっと唸っている。
「魚が臭い!」
オレは冷笑を浮かべながら、説明をしてやった。
「くさやだからな。お前のために食べやすく酒に漬けてくれたようだぞ」
密閉袋に、達筆で言葉が添えてあった。惜しむらくは、老人のジッパーをしめる力が弱かったことだろう。
元から担当をしている地域で、最初に回り、上に物が乗っていったことも残念だった。
「これ食べ物の匂いじゃない」
 城之内から皿を受け取ると、シェフは魚の身をほぐし始めた。
茶碗に飯をよそい、ほぐした身とともに盆に載せた。沢庵と味噌汁も添えてある。
「食べても問題はないそうだ、城之内」
 犬は待てと言われてもいないのに、盆を前に箸だけ掴み低く唸っていた。突然決意したように、干物の大きい身を口にほおりこんだ。
ごくりという音が響く。
「熱、喉の奥熱い、水くれっ」
手渡すと、ごくごくと飲みきった。
「皆から愛されているな、城之内」
笑いながら声を掛けると、困ったような微妙な顔で、うんとこたえた。……城之内にしては珍しい反応だ。
「味はわかったのか」
「酒と生臭いのしかわかんなかった」
シェフが水に浸けておきましょうかと提案した。酒が確かに強すぎるようですとも。
城之内がじっとオレを見ていたので、なんだと訊いてみた。
「服の匂い、落ちなかったらごめん。…海馬も食べてみる?」
 先に謝られたら、善意(老人の、だ)を無下にはできなくなるではないか。しかし、こいつは計算した話術の持ち主ではないのだ。
 新たに盆を用意されそうになったがそれは断り、箸だけ受け取って魚の身を口にした。
確かに最初に感じる酒の味が甘辛くキツイ。それが過ぎると塩辛のような香りで魚の触感だ。ゆっくりと咀嚼して、白い飯を一口食べた。
「酒は無いほうがいいが、魚の味はわかった」
「海馬は平気なのか?!」
 やり取りを見ながら、シェフは夕食を和食にしましょうかと提案した。
銀杏も金柑も、立派な物だそうだ。沢庵も手作りにしかない味わいがあると。
 城之内は沢庵をつまんで、うまいっと声を上げていた。奴が来る前に口にしていたが、素朴な味でおいしいとオレも思っていた。
ふと気付くと、味噌汁と沢庵で茶碗を空にしていた。
「それじゃ、魚のことはお願いします」
ぺこりとお辞儀をして、城之内は出て行った。
「瀬人様、朝から召し上がっていなので、差し出がましいですが用意させていただきました」
シェフの後ろにワゴンが見えた。なるほど、先に下がった理由はこれか。
部屋に運んでくれるように告げて、厨房を後にした。

2月15日土曜日  8:30
 先に海馬の部屋に来てしまった。
 気のせいか、荒れてる感じがする。
 海馬は仕事机の上の配置、ずれてるときはよくないんだよなぁ。直しても怒られるだけだから、そのままにしておくしかできない。
部屋にいるのも辛くて、ベッドの上にうつぶせに転がった。
 今日は海馬が凄くかっこよかった。
配達所のみんなも、助かったって言ってた。
オレだって、いきなりスノーモビルが現れたら驚く。
だれだれって訊かれたけど、友達としかこたえようがなかった。
オレが女だったら、彼氏って言えたのかな。
でも海馬とじゃ、女だったら接点ないだろうなぁ。あの細かい性格にも耐えられない気がする。
 海馬は何かを運転しているときがかっこいい。自信満々って感じで。
そうか、黙っているとかっこいいのか!だからうちのクラス以外では人気者なのか。杏子の言ってたことをやっと理解しました。
 海馬くんは、ホントによくしゃべるんだよな。ん?そういえば女子って彼氏に話を聞いてもらいたいんだって聞いたことがある。海馬と女が結びつかない理由はそれか。
オレは適当に聞いてるから、独り言なのかなぁ。難しいことを色々言ってるけど、オレが理解できないってわかってるはずだし。オレに話して、考えをまとめてるのかなと思ってる。役に立てているならいいなって。表情が変るところは見てて飽きない。真面目な思案顔も何かを思い付いたときに目を輝かせるところも、かっこいいし、かわいいし、きれいだ。
「何の話をしている」
頭をぽんと叩かれた。言葉にしちゃってたか……。
「軽食を用意してくれたが、城之内はどうする」
 けっこう食べたんだけど、バターの香りがおいしそうだなぁ。
行くと返事して立ち上がると、海馬がぷっと吹き出した。
「似合うぞ。そのままシェフを目指したらどうだ」
そうだ、着替えてなかった。
モクバは、兄サマのとこに行かないと城之内の服ないじゃんって、サイズが合いそうな厨房の制服を貸してくれたんだった。
今着替えると、食事が冷めてしまいそうなのでそのまま部屋に戻った。
 アフタヌーンティースタイルで、サンドウイッチやキッシュにスコーン、プチケーキが盛られている。
シェフは海馬のことをわかっているんだな。ちょっとずつつまんでみたくなる、鮮やかな色彩。これなら海馬も食べるだろう。
「配達、助かった。ありがとう。海馬が来てくれなかったら、皆でまだ配ってた」
 海馬が淹れてくれたお茶を一口飲んだ後、やっとお礼を言えた。
スクーター組は雪にはまって、半分も動けなかった。まだ自転車のほうが順調だったと言っていた。
「かっこよかった。自慢したかった。オレの彼氏、凄いだろって」
 海馬はまだ立ってたから、腕を取って引き寄せた。
「服もありがとう。台無しにしちゃってごめん」
「洗って、乾かせばいい」
見上げると、海馬は頬を赤くしていた。素直に話すと大抵この反応だ。かわいいなぁと思う。
「冷めないうちに食べようか」
腕を離すと向かいの席に、斜めに腰かけた。赤い顔を見られたくないのか、スコーンにクリームを塗っている。
すいと皿がオレの前に置かれた。オレの分?
「オレも楽しかった。まさかここでスノーモビルに乗れるとは思っていなかったからな」
「海馬って何でも運転できるよな。それも英才教育?」
今度はジャムを塗りながら、にやりと笑った。
「さあな。あれには昔1度乗ったきりだ」
 オレはちょっとびっくりした。不確かなことを言う海馬というのを初めて見た。
「城之内、スキーはできるのか」
「小さい頃1〜2回かな」
違う話を振られるとは思わなくて、また驚いた。オレの中の海馬って、1人でしゃべってるイメージなんだなと、笑ってしまう。
「今度滑りに行ってみるか?」
紅茶を飲んだ後でよかった。途中なら吹いてた。
「今からだと初級のコーチを受けるだけになってしまうから、スノーモビルをやってもいいしな」
 今度は多分オレが赤くなってる。海馬が事前に誘ってくれるのって初めてじゃないだろうか。
 昨日から、海馬の機嫌の行方がわからない。
オレはうんとしか言えなくて、どこがいいかと考えながら話す海馬の言葉をただ聞いていた。

2月15日土曜日  9:30
 城之内は眠そうな顔をしていた。睡眠不足と雪の中での疲労、腹が膨れたせいもあるだろう。
「寝るか?城之内」
声を掛けるとびくっと肩を震わせた。
「あ…海馬だって寝てないよな。そうさせてもらおうかな」
オレは睡眠不足には慣れているのでそうでもないが。
 立ち上がった城之内は、バスルームに消えていった。最近は言わなくても歯を磨くようになったのだろうか。良いことだ。ワゴンをさげるよう手配しているところへ、大きな足音を立てて城之内が戻って来た。
ソファーの上、畳まれていたパジャマを手に取る。早朝に出かけた後に、オレが戻ったから清掃は入っていない。
「これ、モクバも持ってるんだろ?どうせなら3人で着て昼寝しよう!そうはいってもホントは朝だから、モクバが眠くなかったら無理には誘わないけど」
「モクバ?」
どうしてここで名前が出てくる?
「3人で川の字になって寝よう。お前のベッド広いから大丈夫だろ」
色々世話になってるし、などと照れながら(!)つぶやいている。……黄色い頭の犬は、頭の中のお花畑にでも行ってしまえ!!
「海馬、顔色悪いけど大丈夫?」
 自分の顔など知らん。心配されるということは、血の気が下がって白いのか。
とりあえずソファーにと移動させられ、ブランケットを掛けられた。
ワゴンをさげに来たメイドに抱えられているのを見られたが、そんなことはどうでもいい……。
「海馬?」
 問題はこの犬だ。説明しなければ納得しないのはわかっているので、仕方なく話した。
「あのベッドで3人は、呼んでも来ないと思うぞ。モクバは慎みをわきまえているからな」
「つつしみ……」
顔中に?マークを張り付けて、犬は答を待っている。
遠回しではわからないか。ため息が漏れる。
「普段セックスしているところに誘って、来るわけがないだろう」
 あ、と言って城之内は真っ赤になって膝から崩れ落ちた。
オレとなら一緒に寝ることもあるが、城之内も交えてでは来ないだろう。
「ごめん」
全身から湯気が昇っていそうな犬を引き寄せて、撫でてやった。
 モクバを大切にしてくれるのは、ありがたいことだと思っている。
 城之内は自分のせいでモクバが寂しい思いをしないようにと、いつも気にかけてくれている。
そういうところも含めて、オレはこの犬が好きなのだろうな。ふかふかした髪を梳きながら考える。
モクバの喜びそうな企画だ。それ自体は悪くはないのだ。
「下のサンルームなら、モクバ来てくれるかな」
 犬から人語が発せられるとは思わなくて、思考停止した。
まだ赤い顔を見せながら、必死に訴えてくる。つい顔がほころんだ。
「それは名案だ」
頭を引き寄せて、キスをした。
 モクバに対して恥ずかしく思うのは、オレのほうが大きい。恋人同士という状態に、まだ慣れない。
お前のせいにするのはやめよう。でも今は顔を見せたくないから、許してくれ。

2月15日土曜日  10:00
 海馬のとこには、1階にサンルームがある。
 今風のウッドデッキなどではなくて、洋館の一部として最初から建築されているようだ。
窓が高くて、普段はお茶ができるように丸いテーブルセットやソファーが置いてある。
それでもまだスペースがあるくらい大きい。
そこにラグを敷いてもらって、3人で横になってみた。
 海馬はブルーアイズパジャマを着用、オレはレッドアイズ。
寸が足りないと言っていた海馬は、長めの靴下を履いている。
モクバは眠くないだろうなと思っていたけど、声を掛けたら元気に行くと一言返ってきた。
 現れたモクバは、あたりまえだけどブルーアイズパジャマだ。子供が着るほうが、やっぱり様になってる。
海馬と並ぶとブルーアイズの親子みたいで、笑ってしまった。
 モクバは最初持ってきたゲーム機なんかをいじっていたけど、ふいに外きれいだねとつぶやいた。
庭が見渡せるように設計されているから、雪に埋もれた木々も趣があるんだなと思った。いつの間にか3人とも、日が射して溶けていく雪景色を眺めていた。
 意外なことに、最初に眠ってしまったのはモクバだった。
普段は忙しいスーパー小学生だもんな。海馬にくっついて眠る姿はまだ幼い。
隣の海馬も、うとうとし始めた。こうして見ると、寝顔は似てるなって思う。
 突然モクバの上にあった手がオレをつついた。何だろうと見ると、半眼の海馬が手を振っている。
もしかして、オレの手を寄越せかな?
 試しに手を差し出すとモクバの腹の上にオレの手を乗せて、海馬の手が乗ってきた。モクバの体温と海馬の体温に包まれて、オレの意識も遠くなってきた。
 たまにはこんな穏やかな休日があってもいいと思う。

 都心の積雪が45cmを越えたのは、50年ぶりぐらいだったらしい。
顔にあたる雪が痛かったのはダイヤモンドダストになるくらい、気温が低かったから。
全国の交通網の乱れや、停電した地域があったなどと聞くのは、起きてからのこととなる。


20140217/20140227
この年は大雪が降りました。
kiss kiss kiss説明。Web版に加筆修正+で本にしました。
ここにアップした分より書き下ろし部分多いです。本はR18です。海馬君DT設定です。
アニメと原作のギャップに驚きつつ書いていたようです。
ドーマ編を見て、海馬くんいい人で人殺ししないんだ、城之内くんは良くしゃべると書いてありました。